CEO就任が決まった2017年、チームメンバーである社員と直接意見を交わすため、半年をかけて世界の各オフィスに足を運び、対話の機会を設けました。そのとき、チームメンバーの胸の中に宿る小さな灯りの存在に気が付きました。それが何なのかはわからなかったのですが、とてもあたたかな灯りでした。同時に、ワコムが大切にするお客さまやパートナーのみなさまの胸の中にも小さな灯りを見つけました。この灯りを未来へ紡いでいかなければならない。チームメンバーとの対話を通じて、渇望とも言える強い思いに突き動かされました。それが持続可能(サステナブル)な社会への取り組みを始めようと思った最初のきっかけです。
ワコムのテクノロジーを「ライフロングインク」(※)と名付けたのは、それが人間に非常に近しいところに存在するテクノロジーだからです。ライフロングインクは、「書く/描く」という人間の本能的な感覚や感情による行為から生まれ、誰が、いつ、どこで、どのような思いで書いたかという人間の軌跡を描きます。子どもから大人まで、喜びから悲しみまで、人生のグラデーションを豊かに描き続けるテクノロジーを提供していること。小さな灯りの存在に思いを巡らせていたとき、このライフロングインクこそが灯りを紡いでいく力であり、ワコムが提供すべき価値そのものなのではないかという考えにたどり着きました。
持続可能な社会、それを実現するための企業の在り方が問われている現実に対しても、社会に向けたより本質的な取り組みの必要性を感じています。ワコムは、私たちならではのユニークな方法で社会と向き合い、ライフロングインクの可能性を一層追求していきます。私たちが目指す持続可能な社会への取り組みは、ライフロングインクでみなさんの胸にも宿る灯りを未来に紡いでいくことができるのではないか、人間の在り方をもしかしたら変えられるのではないか、という希望を込めた終わりなき問いを続けていくことです。この問いを深め、人々の日々に寄り添うライフロングインクを提供できるよう、未来の社会のために活動に取り組んでまいります。
代表取締役兼CEO 井出 信孝
※人は一生の間(ライフロング)何かを書き/描き続けています。この一生の間に寄り添いながら、私たちのユニークなテクノロジーで書く/描く体験を支えていきたいと思っています。
サステナビリティに関連した当社の規範、
方針、体制等