すべてはプロクリエイターのために:技術者はデジタルペンの夢を見る
これから先、ワコムのペン開発はどこへ向かって進んでいくのだろうか。
「堅牢性を担保しつつ、ペンの基本部分を今よりさらに細く、今よりさらにシャープにしたいですね。可能な限り細くできれば、クリエイターが自分の好みに沿って太くすることは簡単ですから。ペンの場合、『小は大を兼ねる』とも言えます。そこにチャレンジしていきたい。余分な要素をさらに削ぎ落とすことで、『いつでも持っていたいと思えるペン』を作っていきたいですね(前田)」
「極限までユーザーに寄り添うことを突き詰めたいですね。ユーザーが本当に求めるものとは何なのか。ユーザーの身体の一部になっているような感覚のペンとはどんなものなのか。それを追求するのが楽しくて仕方ない。自分たちでは想像もつかないような使い方をしてもらって、たくさんのユーザーの声を聞けたら嬉しいです(尾形)」
「絵を描きたいと思うと、これまではアナログ画材から入ることが多かったため、『アナログ画材に近づけること』が技術者としてひとつの究極的な目標になっていました。一方、これからは小学生からスマートフォンに親しんでいるデジタルネイティブが活躍する時代。絵を描く入り口もデジタルになることも多いでしょう。アナログ画材に近づけることだけがゴールではない。『アナログ画材に近づけること』と『デジタル画材だからできること』、その両方考えていきたいですよね(鈴木)」
三者三様に技術者としての夢を語る言葉からは、「プロクリエイターに寄り添うペンを送り届けたい」という実直な想いが伝わってくる。
前田は、「自分たちで申し上げるのも烏滸(おこ)がましいですが、正直なところ、このWacom Pro Pen3はかなりのペンに仕上がっていると自負しています。もっと多くのクリエイターに使って欲しかったのですが、これまではハイエンドモデルであるWacom Cintiq Pro 27のみの対応だったため、実にもったいないと感じていました。今回、Wacom Movink 13が対応したことで、このペンが生み出す驚きの体験を、より幅広い方たちに届けられます。楽しみが膨らみますね」と語る。ワコムとして初めて有機ELディスプレイを採用した有機ELペンタブレット Wacom Movink 13の登場は、技術者の誇りが詰め込まれたWacom Pro Pen 3が届ける最高のペン体験の裾野をこれまで以上に広げていくことだろう。