「かくこと」を支え続けたい/大磯町との取り組み


「かくこと」を支えたいという思いのもと、ワコムは、神奈川県大磯町、株式会社セルシス、株式会社アイネットと、大磯町の教育の質のさらなる向上を目指す「ニューノーマル・デジタル・クリエイティブ教育」(※)を推進するためのパートナーシップ協定を2020年11月に締結しています。

絵を描くことが好きな気持ちを支え続けたい、描き続けることの先に広がる世界を子どもたちに見せていきたい。そんな思いから始まった大磯町とのコラボレーションは、「かくこと」を軸に町全体の取り組みへと広がりをみせています。

大磯町とともに取り組みを進めるのは、クリエイティブBUリテールパートナーシップの坪田直邦です。代表取締役社長兼CEOの井出は、共に大磯町を訪れ、担当者は坪田だと確信したのだといいます。オフィスのある東京・新宿と大磯町を往復することおよそ100回。坪田が町民のみなさんと築いてきたこの取り組みについて、話を聞きました。

※「ニューノーマル・デジタル・クリエイティブ教育」とは、アナログの創造活動をデジタル環境で行うことに加え、作品共有や共同作業など、デジタルならではのメリットを生かした創作活動を、教育に積極的に取り込もうというものです。

 

どのような経緯で神奈川県大磯町との取り組みが始まったのでしょうか?

坪田:2020年8月、株式会社アイネットさんとのご縁で、大磯町の教育委員会の方々とお会いしたのがきっかけです。当時GIGAスクール構想が始まったところで、教育委員会の方々と、ITやワコムの力で何かできないかとお話をしました。教育の観点から「かくこと」を支えたいという思いで、大磯町、株式会社セルシス、アイネットとワコムの4社でパートナーシップ協定を結び、2020年11月のコネクテッド・インクで発表しました。

 

具体的にはどのような活動を行っているのでしょうか?

坪田:パートナーシップ協定を締結して間もなく、コネクテッド・インク2020にて、大磯町立国府中学校文芸部のみなさんにデジタルで作品を制作してもらい、発表しました。それを皮切りに、中学の部活動でのデジタル制作が始まりました。子どもたちが楽しんで制作する様子が伝わって、翌年の2021年には、夏休みの子ども向け講座やオリジナル缶バッチ制作のイベントを開催することとなりました。学校教育課のみなさんと小中学生を対象に始めた取り組みでしたが、子どもたちの反応を知った他の課からもお声がかかり、2022年には、対象を町民全体へと広げ、デジタル絵画教室などの催しを行っています。

 

活動の内容や対象がどんどん広がってきているのですね。

坪田:町の中で体験や反応が共有されていくというのが大きいです。生徒から先生、先生から学校、学校から町へとどんどん伝わって、子どもたちだけではなく、町民のみなさんに知っていただけて有難いです。「かくこと」を支えるというところから、絵だけでなく、文字を書くというところにも広がって、美術以外の授業や、近隣の町のみなさんからも関心を寄せていただいています。


 

 

子どもたちや町のみなさんの反応はいかがでしたか?

坪田:子どもたちは喜んでくれましたね。「ワコムです」と言うと、「ペンタブの?!」と反応してくれて。絵も、パソコンとの接続方法とクリスタ(イラスト・マンガ制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」)の使い方を15分くらい説明しただけですぐに描けてしまいました。そういった子どもたちの姿から、町のみなさんにも徐々にワコムがやっていることをご理解いただけているのではないかと思います。

立ち上げ時は、アイネットさんとどうしたらよいのだろうかと奔走して、苦しい時期もありました。子どもたちにとってよいことであれば率先してやるべきという先生方のお考えに助けられて、取り組みを進めることができています。今では、イベントをやると、「次はいつやるの?」とか「もっとこういうことが知りたい」などと声をかけていただいて、楽しんでいただけているのかなと嬉しく思っています。

 

特に印象深かった出来事はありますか?

坪田:国府中の生徒たちが参加してくれたコネクテッド・インク2020ですね。これがなければこの取り組みは始まりませんでした。制作の過程で大変だったことはもちろんあったのですが、作品が完成した時、発表した時のみんなの顔が忘れられないです。それから、コネクテッド・インクに参加してくれた生徒を招いて開催したサンキューイベントでの子どもたちの喜ぶ姿だったり、缶バッチイベントやデジタル絵画教室でのみんなの笑顔だったり、出来上がった時に喜んでくれているのがとにかく一番嬉しいです。

最近では、世代を問わず製品体験会にご参加いただいていて、みなさん「楽しい」と素敵な作品を描いていかれます。昔の写真をトレースして絵を描いてみたいなど、具体的に描きたいものがあってお越しになる方もいて、町民のみなさんが歓迎してくださっているのを感じています。

 

営業担当としては、一台でも多く売れた方がよいのでは?

坪田:売れた方がもちろんよいのですけれど(笑)もちろん、大磯町での取り組みを通して、製品を体験したことをきっかけに購入してくださるということはあります。普段の仕事も、大磯町との取り組みも、製品を使ってくださる方の「かくこと」を支えるということにすべて通じていると考えています。「ワコム製品を使ってよかった」と言ってもらえることがゴールなので、実際に使ってもらって、好きになってもらえたら嬉しいですね。

 

今後はどのような取り組みを予定していますか?

坪田:引き続き、デジタル絵画教室などの開催や、それに伴う展示会などを開催していく予定です。町が主催するイベントでの製品体験会なども積極的に参加していきたいと思っています。また、ICT教育の推進について議論する町の協議会にオブザーバーとして参加しています。GIGAスクール構想を含めて、「かくこと」を軸にどう支えていけるかを考えているところです。壮大な計画はないのですが、大磯町のみなさんと一緒に、「かくこと」を支え続けていけたらよいなと思っています。

 

自身にとって、大磯町との取り組みはどのような存在ですか?

坪田:難しい質問ですね……!この取り組みがないということは想像できないですね。みなさんがこういうところに疑問があるのかとか、製品を使ってこういうことがしたかったのかとか、大磯町との取り組みがあるからこそ、知りえたことがたくさんあります。学校が得意ではない子が、作品制作の時には非常にはりきっていて、「すごく楽しかった」と言ってくれた時にはもう泣きましたね。保護者の方も喜んでくださって、やってよかったなと思いました。業務の一環ではあるのですが、ライフワークのようになっています。「かくこと」を支えるということが、私にとっても大事なものになって、大磯のみなさんに私が支えられています。


 

 

大磯町とのこれまでの歩み(2022年12月時点)

  • 2020年11月 パートナーシップ協定締結
    • 「かくこと」を支えるという思いのもと、大磯町、株式会社ミセルシス、株式会社アイネット、ワコムでの取り組みが始まる。
    • コネクテッド・インク2020にて、国府中学校文芸部がデジタル作品を発表。学校や先生方のご尽力で実現した最初のイベント。
  • 2021年8月 学校教育課と小学生向け缶バッチ制作イベントを開催
    • 缶バッチを渡した時の子どもたちの笑顔が忘れられない。
  • 2021年8月 生涯学習課と小中学生向けデジタル絵画教室を開催
    • 課を越えて、取り組みが広がっていくきっかけに。
  • 2021年11月 コネクテッド・インク2021にて、小学生とともにプログラミングツール「Scratch」を使ったゲームを発表
    • かくことをどう支え続けているのか、子どもたちにどのような成長があったのかを実感する機会に。
  • 2022年1月 大磯町立図書館にて、2021年8月に開催したデジタル絵画教室で制作した作品の展示会とペンタブレット体験会を開催
    • 油絵をやっているという町民の方が短時間で素敵な絵を描いていかれた。後日開催したデジタル絵画教室にも参加され、ご自宅でも描きたいと、機材一式をご購入くださった。
  • 2022年3月 コネクテッド・インク2020に参加した中学生の卒業を前に、サンキューイベントを開催
    • プロのイラストレーターによるライブドローイングに歓喜する子どもたち。将来プロを目指したいという生徒も現れた。
  • 2022年7月 大磯町と二宮町の特別支援級を対象に、缶バッチ制作体験会を実施(全10回)
    • 放課後の限られた時間での開催は運営面での難しさがあった。普段なかなか活動に参加しない生徒も喜んで参加してくれた。
  • 2022年9月 町民向けデジタル絵画教室を開催
    • 町民全体を対象にした初めての催し。最高齢参加者は91歳の町民の方。
  • 2022年11月 コネクテッド・インク2022にて、ワコムが株式会社ヘラルボニー、一般社団法人コネクテッド・インク・ビレッジと取り組む「コール・アンド・レスポンス」に参加
    • アーティストの小林覚さんの作品からインスピレーションを受けて、生徒たちが作品を制作するという新たな挑戦。学校のテストもある中、頑張ってくれた。

 

大磯町との歩みはこれからも続きます。

プロジェクト一覧

Social Initiativesの現在地とこれから:5年間の取り組みを振り返って

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ワコム・カナダは、シスラー高校が提供する「CREATEプログラム」にパートナーとして参画し、クリエイティブ業界へのキャリアパス支援を目指した包括的な取り組みに携わっています。

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クリエイターになりたいという子どもたちの夢はチームメンバーの心の灯りと重なり、多くの取り組みにつながっています。鹿児島県錦江町のアニメーション制作ワークショップに協力しました。

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デジタルインクテクノロジーの認知拡大と普及を目指すInk Division。中国で唯一のプロダクト・マネージャーとして挑戦を続けるラニー・ジャンに取り組みに対する思いを聞きました。

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私たちの灯り‐光を運ぶ風/棕櫚

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「かくこと」を支え続けたい/大磯町との取り組み

神奈川県大磯町とのコラボレーションは「かくこと」を軸に町全体の取り組みへと広がりをみせています。担当するクリエイティブBUの坪田直邦に話を聞きました。

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コネクテッド・インクという多面体の側面-2

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コネクテッド・インクという多面体の側面-1

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社会に存在する障壁を乗り越えるには?/コール・アンド・レスポンス

2021年9月、ワコムは、株式会社ヘラルボニーと一般社団法人コネクテッド・インク・ビレッジと共に、「コール・アンド・レスポンス」(呼びかけと呼応)という新たな取り組みを始めました。

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余韻の中に残るもの/コネクテッド・インク2021

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「心の灯り」をテーマに、二回目となるアートコンテストを開催しました。思いもよらぬ出来事にさまざまな変化が起こる中、今、そして未来へと続くチームメンバーの心の灯りを作品を通して紹介します。

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問いを立て進み続ける/
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「コネクテッド・インク2020」は、終わりなき問いを続けていくワコムの新たな覚悟であり、挑戦の始まりでした。

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コネクテッド・インク2020の舞台として制作された「ステージKOPPA」。多様な場面に応じて、形や役割を変化させ、そこで起こるさまざまな物語をつないでいくステージです。

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「心の灯り」をテーマに、二回目となるアートコンテストを開催しました。思いもよらぬ出来事にさまざまな変化が起こる中、今、そして未来へと続くチームメンバーの心の灯りを作品を通して紹介します。

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私たちの取り組みで大切にしている「灯り」をテーマに、チームメンバー(社員)を対象にしたアートコンテストを開催しました。チームメンバーによる投票で選ばれた三作品を紹介します。

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私たちの取り組みで大切にしている「灯り」をテーマに、チームメンバー(社員)を対象にしたアートコンテストを開催しました。チームメンバーによる投票で選ばれた三作品を紹介します。

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休校中の子どもたちにオンライン・スケッチノーティング講座

新型コロナウイルス感染拡大防止による休校中の子どもたちを対象に、ドイツのチームメンバーがオンラインワークショップ「Young Wacom」を開催しました。

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カスタマーサポートを通じてアーティストの「人生」を応援したい

アメリカでカスタマーオペレーションを担当するアレックス・ダフィーは、アーティストを支援する新たなプログラムを立ち上げました。このプログラムを立ち上げるきっかけとなったアーティストのデボン・ブラッグ氏との物語について、アレックスに聞きました。

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3.KOPPAのはじまり/
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KOPPAのはじまりは2019年4月。伊藤さんの展示制作がきっかけでした。展示後も「また誰かに使ってもらえるものにしたい。」KOPPAに込められた思いをお聞きしました。

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2.もう、壊さなくていい/
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自分たちで組み立てて、広げて、しまって、また一緒に旅に出る。壊すのが当たり前であった展示什器の在り方を大きく変えた「旅するKOPPA」が誕生しました。

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建築現場の端材を活かせないかと、建築家の伊藤維さんの呼びかけで生まれた家具「KOPPA」。ワコムとの出会いは小さな偶然がきっかけでした。

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私たちの灯り-“That Spark Inside”
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未来のエンジニアたちにマーケティングの講義

東京工業高等専門学校で技術者を目指す学生を対象にマーケティングの講義を行いました。

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一台に最後まで責任を持つ
セールス担当の取り組み

高校生のデジタルコンテンツ制作支援のため、倉庫に眠るペンタブレットを高校のクラブ活動や学校対抗のコンテストの副賞として毎年贈呈しています。

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未来の教育を考える
ライフロングインク×AI

学習中の視線データとペンの動きから、生徒個人の学習特性を明らかにし、個人に合わせた学習環境を提供する「教育向けAIインク」を開発しました。

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授業をもっと楽しく、クリエイティブに
Wacom Intuosを学校に導入

ブルガリアで働くソフトウエアデザイナー、ヨアナ・シメノヴァは、子どもたちのITクラスをもっと楽しくしたいとWacom Intuosを学校に導入しました。

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サステナビリティに関連した当社の規範、
方針、体制等

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