コネクテッド・インクという多面体の側面-1


問い続けることの意味とは?創造的混沌とは?コネクテッド・インクとは?

コネクテッド・インクの受け止め方は、ワコムのチームメンバーにとってもさまざまです。それぞれが考えるものがコネクテッド・インクという多面体の一面を構成しているのだと代表取締役社長兼CEOの井出は言います。実際にどのような側面があるのでしょうか。ここでは、チームメンバーの心の灯りを起点にその一面を覗いてみます。

一人目は、コネクテッド・インクが始まった2016年から企画運営の中心的役割を務めるハイジ・ワンです。Ink DivisionのSenior Vice Presidentとして、チームメンバーと共に新しいイノベーションや体験の創造、ソフトウェアの技術開発を担当するハイジが考えるコネクテッド・インクとは?

※「コネクテッド・インク」は、2016年よりワコムが主催する、アート、人間表現、学び、そしてそれらを支えるテクノロジーの新しい方向性を、ある問いから模索するイベントです。


立ち上げからコネクテッド・インクに携わっていますが、どのような取り組みなのでしょうか?

ハイジ:当時、ソフトウエア技術の開発に携わっていたこともあり、パートナーシップの重要性を感じていました。そこで、パートナーの方々と共に、目標やビジョン、協働の成果を共有しようと実現したのがコネクテッド・インクです。
創造的混沌を掲げた2020年からは、製造やテクノロジー業界だけでなく、教育やクリエイティブコミュニティなど、より幅広くパートナーとつながる取り組みへと進化しています。また、この数年は、ワコムの「ライフロングインク」という約束のもと、より長期的で社会的な意味も生まれています。


ライフロングインクとコネクテッド・インクとは?

ハイジ:ライフロングインクとは、私個人の解釈でお伝えすると、ワコムがどのように私たちの技術、製品、そして経験で貢献できるかということだと考えています。これは、ワコムのビジネスとしての成長のためだけではなく、人びとに本物の価値をお届けしたいという、私にとってのコネクテッド・インクの意義とも深く結びついています。例えば、教育事業に携わるパートナーとは、私たちの技術、製品や経験を子どもたちの学びのためにどう活かせるかを議論しています。どうすればよりクリエイティブに活用できるのか、どうすれば経済的環境に左右されず、より多くの子どもたちに利用してもらえるのか。ライフロングインクともつながる考えです。コネクテッド・インクという場で、こういった考えをパートナーやコミュニティと共に発信していくことで、より具体的なプロジェクトや成果を共有できると思います。ワコムが向き合っているのは人間であり、コネクテッド・インクを通して私たちがお伝えしたいのは、ライフロングインクという価値だと考えています。


自身にとっての創造的混沌とはどのようなものですか?

ハイジ:とてもポジティブなものです。なぜなら、イノベーションは混沌から生まれると思っているからです。また、コネクテッド・インクという物語の中で、創造的混沌とは魔法のようなものです。さまざまな考えや背景を持つ人びとが集まり、コネクテッド・インクというひとつの場が実現します。そして、その意味を共に問うことこそが私にとっての創造的混沌だと思います。


創造的混沌から生まれた魔法の瞬間を教えてください。

ハイジ:ひとつ挙げるとしたら、2020年から開催している日本フィルハーモニー交響楽団 とLIMITS(リミッツ)のパフォーマンスです。クラシック音楽と絵という、異なる世界のコラボレーションが実現した魔法の瞬間でした。音と絵が重なり合ったときの驚きを今でもよく覚えています。また、ビジネスとは違う文脈でワコムがパートナーから評価されたことは、もう一つの魔法の瞬間でした。

 

 


コネクテッド・インクにとっての問いとは?

ハイジ:私にとって、問いはエネルギーの源です。コネクテッド・インクの問いは、答えを見つけることが目的ではないと個人的に考えています。問いを通じて、共に話し合い、共有するきっかけを探しているのではないかと思うんです。問いが創造的混沌を生み出すエネルギーとなり、人びとをつなぎ、さらなる創造的混沌へと誘うきっかけになっていると思います。


一方で、正解を求める人もいますね。

ハイジ:そうですね。考え方が同じでないことはとても自然なことで、人間の面白いところだと思います。コネクテッド・インクはどのような人でも歓迎しますので、答えを見つけようとやってくる人、理解できないと思う人、自分に合ったイベントではないと思う人もいるかもしれません。私たちはそれぞれ違うので、その違いを尊重するべきだと考えています。


コネクテッド・インクの魅力は何ですか?

ハイジ:予期せぬ出会いでしょうか。毎年、新しい出会い、新しいセッション、新しい表現が生まれることがとても楽しみです。実現するまでの道のりは毎年同じですが、そこから生まれる未知のものに毎年驚いています。
そして、コネクテッド・インクは、地域や部署を超えて、多くのチームメンバーと共に作り上げている取り組みです。チームメンバーの熱意や努力を知り、称える機会でもあります。私だけではなく、チームメンバーをも魅了するのは、そういうところではないかと思います。


コネクテッド・インクは今後どのように発展すると思いますか?

ハイジ:よりチームメンバーとの結びつきが強く、地域色が濃くなっていくと思います。コネクテッド・インクは典型的なイベントの形式に始まり、これまでさまざまな経験を重ねてきました。参加する人も、企画する人も、誰もがコネクテッド・インクの楽しさに集中できるように、少しずつアップデートしていきます。
また、コネクテッド・インクを、コミュニティが声を上げ、表現を示す場に育てていきたいです。他では難しいかもしれないけれど、コネクテッド・インクならできるかもしれないという希望を分かち合うことができる場になれば嬉しいです。


自身にとってコネクテッド・インクとは?

ハイジ:自分の子どものような、愛すべき存在です。コネクテッド・インクを立ち上げた一日目から、今日まで少しずつ成長する姿を見てきました。パートナーやコミュニティと共に一年の集大成を発揮する場でもあります。コネクテッド・インクは、ワコムにとっても、私自身にとっても、次に進むエネルギーになる大切な場所となっています。





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